看護業界から離れて改めて気づいた看護師の魅力を考えてみようと思います。
一生物の知識
私は、看護師を退職してから半年後に祖母が肺炎で入院しました。コロナの情勢もあり、面会はできなかったのですが、病状説明(以下IC)は病棟で直接主治医から聞くことができました。
その時に、検査結果や治療方針など説明されることをある程度予測できていました。これはかなり大きなメリットだと思います。知識がない分野のことの説明を受けても理解が追いつかなかったり、後から「これも聞いとけばよかった」と思った経験ないですか?
家族や自分が病気になったときに、病状を正確に理解できることは大きな安心に繋がります。
他業界にはないやりがい
私は、看護師を退職した後、半年間営業職に就き、その後IT業界に飛び込みました。3つの業種を経験してみて感じたのは、看護師のやりがいは別格だったと言うことです。
営業職、ITエンジニアにももちろんやりがいはたくさんありますし、チームでプロジェクトを終えた時にはなんともいえない達成感を得ることができます。
しかし、看護師時代に感じたやりがいは全く別物でした。他者の命や人生に関わる意思決定に携わったり、生死を彷徨う状態の方と連日関わったりするのはかなり特殊です。
喜怒哀楽の感情や悩み、不安に寄り添ったり、病気と共に過ごしていく方法を考えたりした経験は自分の人生観を豊かにしてくれたと感じます。
自然と身に付く精神力
看護師経験を重ねると、急変対応やお見取りの経験も必然的に増えていきます。また、理不尽なことを言われるのも日常茶飯事だったりしますよね。看護業界から他業界へ転職して、自分の精神力に驚かされました。
看護師というと、「感謝される仕事」と言うイメージを持っている方もたくさんいるようでした。しかし、看護師の仕事はそんなに甘くないですよね。もちろん感謝をしてくれる方もたくさんいますが、体調が悪い時や病気の宣告を受けたばかりの人など苦痛を抱えている方はぶつけどころのない感情を看護師に吐き出すことも多々あります。
看護師はその言葉や感情も受け止めますが、毎回傷ついたり、落ち込んだりしている暇は正直ないです。そういった状況は自然と精神力に磨きをかけています。
BtoBともBtoCともいえない関係性と比べると、ビジネスの世界のクレームはオブラートに包まれていたり、どちらかの勘違いが原因であると分かったりと理不尽さはかなり軽減されます。看護師で培った精神力があれば、割とどの業界でも逞しく生き抜いていけると思います。
コミュニケーション能力
看護師は、患者・家族はもちろんですが、医師や薬剤師・MSWといった他職種の連携の架け橋となることが多々あると思います。患者・家族への退院指導や意思決定支援などを通して、年齢や理解度に応じたコミュニケーションや傾聴力を自然と身につけていきます。また、あらゆる年代の方と関わるので、話題の引き出しも気づかないうちに豊富になっていきます。
他職種との連携では、スピード感のある情報共有や集まった情報を整理していく力も身についていきます。他職種と比べて看護師は、カルテにカンファレンスの内容を毎回細かく残しているので、自然と情報を整理しながら話している場面が多いです。
看護師として働いているときは、実感することはあまりないかもしれないですが、他業界へ飛び込むと看護職のコミュニケーション能力はかなり高いと感じます。実際、私も営業をしているときに同僚からコミュニケーション能力が高いと言われたり、情報共有のスピードが速いと褒められたことが多々あります。医療現場で当たり前のスピード感が他業界では「迅速」と捉えられ、看護師として当たり前に行っていたコミュニケーションが「能力が高い」と評価されることを実感しました。
まとめ
看護師は体力的にも精神的にもかなりハードワークです。その中で、自分なりのペースセットやリフレッシュの方法を身につけていると、他業界でも十分に通用します。私は、看護師退職後、営業職とIT業界を経験しました。正直、体力的には看護師の方が圧倒的にきついです。
一般的に営業職は精神的にしんどいというイメージがあるかと思いますが、個人的には看護師の方が大変でした。営業ではお互いにビジネスの関係なので、クレームを受けるにしても節度ある態度のことが多いです。
看護師で培った力は、一生役に立つものばかりです。ハードワークで心身ともに疲れ切ってしまうこともありますが、うまくリフレッシュしながら続けていくと、いざ他業界に転職しても十分に通用する力が自然と身についているのは非常に大きな魅力です。