あらすじ

人生を諦めている29歳の芳野千鶴は、ある出来事がきっかけで22年前に自分を捨てた母・聖子と再会する。元夫のDVから逃げるため、母の住む「さざめきハイツ」で同居を始めた千鶴。聖子を「ママ」と呼ぶ恵真、理想の母のように優しい彩子、10代で妊娠した彩子の娘・美保との金曜な共同生活の中で新しい答えを見出していく。

感想

辛さや寂しさ、哀しさ、心の痛みがそれぞれの登場人物の視点で次々とおそいかかってくる。ひとがひとを弱くも強くもするのだと、、、。

親子だから、夫婦だから、家族だからという枠組みの前に、1人の人として自分の人生を歩むことの意味を考えさせられる。

「私の人生は最後まで私のもの」この言葉にこの物語の全てが集約されていると感じた。

印象的な言葉たち

「傷ついていたら誰に何を言ってもいいわけじゃない。自分の痛みにばかり声高で、周りの痛みなんて気にもしないなんて、恥ずかしいと思えよ。」

「ひとって水なのよ」

「触れ合うひとで、いろもかたちも変わるの。黄にも、緑にも。熱いお湯にも、氷にも。ー」

著者

china